旅とわたし②(中国編)

バックパッカーの聖地、陽朔 旅行

旅は自分の人生の選択肢の中で大きなきっかけとなってきました。2000年、大学を1年間休学し、世界にバックパッカーとして神戸港から中国に燕京号で出発しました。飛行機であれば大阪から北京までは3時間で行けますが、当時は金はないが時間はある。ということで、片道50時間2泊三日かけて神戸から中国天津を目指します。大型フェリーの乗客はそれは色々な個性的な人がいました。大学生くらいでこれからバックパッカーとしてシベリア鉄道からロシアを経てヨーロッパを目指す人、壊されていく北京の古い街並みの写真を撮りにきたカメラマン、日本を追われ海外でひと旗上げようとする方、本場中国でこれから修行先を探すという中華料理料理人など本当に色々な思いを持つ方がたくさんいて、大広間や甲板で海をみながらこれからのことを語り合います。そして、ここで出会った一人のカメラマンと一緒に行動を共にすることなりました。激しく揺れる大型船に船酔いをしながら、2泊3日フェリーはついに天津港に到着しました。

港に降り立つと、多くの子ども達や浮浪者が周りを取り囲み、お金をせがむように取り囲みます。一人にあげると他の人たちにもあげる必要があることから、逃げ出すようにその場を振り切り、近くの小型ワゴン車に乗り込みます。すでに日も暮れた夜の北京までの高速道路。未舗装の道路を上下に激しくジャンプしながら進むワゴン車。とうとう中国の首都北京に到着しました。すでに2008年の北京オリンピック開催地として決まっていた2000年当時は、多くの胡同と呼ばれる四合院の中国式の建物がビルや道路の建設ラッシュによって取り壊されていました。フェリーで出会ったカメラマンはそれらの変化する様子、辛うじて残る昔ながら中国の面影を被写体としておりました。時代の変化を切り取り、後世に残す写真の魅力。私はそばでそれを見ている中で、現地で生活する方々の笑顔や表情を撮りたいと思うようになりました。私は、北京の中古のカメラショップでキャノンの一眼レンズカメラを購入し、そこでわたしは海外で生活する人たちの顔を沢山収めようと思いました。(帰国後に、大阪のギャラリーでそのカメラマンの展示会があり、私の撮った写真も展示いただくこととなりました。)私の写真好きはこの時の経験があるからであると思っています。

日本は海に囲まれる島国であり、国境を跨いで国を渡るということはなかなかできません。国境を渡ると、国籍、言語、通貨、食生活、文化が異なります。自分の足で歩いて国境を越える。これが自分の旅のテーマにもなりました。日本とは国交がなく、行けない場所北朝鮮を見てみたいと思い、中国と北朝鮮の国境の街、丹東へと乗合バスを使って向かいました。川を挟んだ向こう側が北朝鮮。流石に北朝鮮に行くことはできませんでしたが、中国側の風景は非常に経済発展著しい反面、北朝鮮側は木々に覆われ、なんだかどんよりとしている印象でした。見せ物小屋と呼ばれる体の一部が欠損した方がサーカスのパフォーマンスをしていてなんだか暗い気持ちになりました。まだまだ日本との経済格差があることを肌で感じたそんな時代でした。

その後、北京に戻り、たくさんの貨物と人で溢れかえった電車で上海を目指しました。国際都市として名高い上海の外灘(バンド)では、多くの観光客で溢れかえり、華やかな街並みを体感しました。それから日本人としては、行っておかなくては行けないと思い、南京にて南京大虐殺記念館に行きました。そこでは、戦時中に日本人がどれほど悪いことをしてきたかが多くの惨殺された映像などがあり、私は自分が日本人であることがバレないように息を殺しながらその博物館を回りました。反日教育というのがどういうものかを肌で感じた瞬間でした。その後上海に戻り、また電車に乗って食の都で有名な広州に到着しました。今までほとんど安宿、屋台で食事をとっていましたが、抜群に美味しいと思わされました。まさに食は広州にあり!でした。

そこから、私は中国で有名な水墨画の世界を見たいと思い、陽朔というところがいいという情報を得て、バスにて移動しました。相変わらずジャンピングバスの移動にもだいぶ慣れてきました。バックパッカーが集まるゲストハウスに行くと、そこで初めて日本人に出会いました。彼の名前は、たけし。一歳年下の彼、元アパレル勤務だけあって、お洒落なTシャツとキャップを着こなし、これからアジアの国々を周り、ヒマラヤ山脈を目指すとのこと。地元の安食堂で地元の料理とビールを一緒に飲みながら妙に気が合った彼。まさかこの時は、この出会いが4半世紀後の現在も、彼の経営する店(長野)で彼が作る絶品料理をいただき、我々が作るお酒を取り扱いいただき、プライベートでもお仕事面でも関係が続いております。旅での出会いや御縁は人生に潤いをもたらすものだと今感じています。(旅とわたし③に続く)

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